行動経済学のおとり効果

行動経済学とは、人間がどのようにお金や時間を使うか、どのような選択をするかを研究する学問です。その中で、「おとり効果」というものがあります。

おとり効果とは？

おとり効果（Decoy Effect）とは、人が選択肢の中である一つの選択を魅力的に見せるために、あえて劣る選択肢を追加することです。この劣る選択肢を「おとり」と呼びます。

簡単な事例

たとえば、アイスクリームを販売しているお店で、次の3つのサイズのカップがあります。

1. 小さいカップ: 200円
2. 中くらいのカップ: 400円
3. 大きいカップ: 500円

このとき、最初は「小さいカップ」か「大きいカップ」のどちらかを選ぶ人が多かったとします。しかし、お店が「中くらいのカップ」を追加することで、消費者の選択が変わります。

おとり効果の働き方

「中くらいのカップ」は値段が400円で、「大きいカップ」は500円です。価格差は100円しかないのに、「大きいカップ」は「中くらいのカップ」よりも量が多いです。このとき、「中くらいのカップ」が「おとり」となります。

おとり効果によって、「大きいカップ」がよりお得に見えます。結果として、多くの人が「大きいカップ」を選ぶようになります。

もう一つの事例

次に、映画館でポップコーンを販売している場合を考えてみましょう。

1. 小さいポップコーン: 300円
2. 中くらいのポップコーン: 500円
3. 大きいポップコーン: 550円

この場合も同様です。「中くらいのポップコーン」と「大きいポップコーン」の価格差は50円しかありませんが、量の差は大きいです。「中くらいのポップコーン」が「おとり」として機能し、多くの人が「大きいポップコーン」を選ぶようになります。

まとめ

おとり効果は、人々が合理的な選択をするのではなく、周りの選択肢と比較して決めることを示しています。おとり効果を利用することで、消費者の選択を特定の商品に誘導することができます。商売やマーケティングの世界では、この効果を活用して売り上げを伸ばす戦略がよく使われています。

このように、おとり効果は、少し工夫をするだけで人々の行動や選択を大きく変えることができる、とても興味深い現象です。